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Matsuo

【interview】

【インタビュー】OLDCODEX、絆の強さを“並走”で示す挑戦作「Heading to Over」


2018.7.25 12:00

OLDCODEXらしさが詰まりまくったニューシングル「Heading to Over」が7月25日にリリースされる。TVアニメ『Free!-Dive to the Future-』のOP主題歌としてオンエア中の同曲だが、OLDCODEXが『Free!』シリーズのタイアップ曲を手がけるのはこれで4作目。だからこそのTa_2のアニメと並走したいという楽曲へのこだわり、YORKE.のよりヴィヴィッドなペインティングなど思い入れもたっぷり。シングルだからこそ、あえて挑戦したというカップリング曲も含めて制作中のエピソードを2人に話を聞いた。そして結成9年という月日を経て、より絆が強くなっているという相棒の“今日この頃”についても語ってもらった。

■連続性を持たせたいからBPMは今までと同じ220(Ta_2)
■歌詞は真っ向勝負。ストレートな言葉を意識した(YORKE.)

——TVアニメ『Free!-Dive to the Future-』オープニング主題歌としてオンエア中の「Heading to Over」は、OLDCODEXの熱さがまっすぐに伝わってくるナンバーになりましたね。

Ta_2:シングルごとに熱量を上げている感覚はあって、今回は俺らの今や内包しているものとアニメの主題歌をリンクさせやすかったっていうのはあるかもしれない。水泳のリレー競技を通して生まれた仲間との絆を大事にしている話で、俺らの絆もどんどん強くなっているから、より前に進むために自分を後押しするような曲にしたかった。そういう気持ちは聴く人にも伝わると思ったので応援歌ではなく鼓舞する曲でありたいなって。『Free!』のタイアップはOLDCODEXとして4作目になるんだけど、アニメがこんなに長く続くのも珍しいことだし、何度も主題歌として関わらせてもらっていることにありがたいなと思いながら作った曲ですね。連続性を持たせたいからBPMは今までと同じ220にして。

——テンポが一緒なんですね。その理由というのは?

Ta_2:最近のアニメーションは一つの放送期間から次の放送期間までに間隔があいて放映されることが多くなってるから、振り返りたいと思った時にはDVDやBlu-rayをひっぱり出して見ると思うんだけど、時間がたっちゃうと思い入れの速度も変わっていくから、続けて見た時に各作品のスピード感が変わるのは嫌だなって。でも、曲が違えどテーマ曲が同じ速さだったら、「あ、このテンポ感って『Free!』だよね」って認識してもらえる。だから、「Rage on」も「Dried Up Youthful Fame」もBPMは220。劇場版の『映画ハイ☆スピード!-Free! Starting Days-』だけは中学生の話だから、まだ未熟というところで主題歌「Aching Horns」のテンポはハーフサイズの110で作っているんですよね。

——そんなこだわりがあったとは!

Ta_2:そう。今回のTVアニメの主題歌は競技者の強さに着目してほしいという要望があったから、今までドロップDチューニングで作っていたんだけど、より骨太なサウンドで自分たちの味を出すためにドロップCチューニングで作って。

——イントロからして“OLDCODEXだ!”と思える曲になりましたよね。

Ta_2:ウチらの“らしさ”を思いきり詰めた楽曲になってますね。

——2人で共作するにあたって話したことは?

Ta_2:「こういう気持ちで作ったよ」ってLINEでチョロッと送ったぐらいかな。より背中を押せる内容にしたいってことと、刺さる歌詞にしたいから今まで以上にわかりやすい言葉で書いてほしいってYORKE.に伝えて。

——歌詞に関しては、ここまでストレートに日本語で熱い想いを歌った曲はなかったかも? と思いました。

YORKE.:今回は目線をけっこう落として書いていったよね。とは言え、自分はそういう年齢じゃないから、このメンタルのまま10代に戻ったらどういう感じかな? って。やっていることはたいして変わらないし、気持ち的には今もひきずっている部分はあるんだけど。

——10代の頃の感覚は自分の中には残ってはいるけど?

YORKE.:残っているけれど、消えちゃった部分もあるし、思い返すと「青いな」と思うことの方が多いじゃない? でも、それを恥じるんじゃなくて真っ向勝負で書いていった。僕の書く世界観はいつも余白があるんだけど、Ta_2の言うストレートな言葉を意識してトライした歌詞ですね。

——“出会えた馬鹿な夢 好きなだけ信じて行くのさ”とか、ここまでストレートな表現はなかった気がするんですよね。

YORKE.:そうだね。シングルの表題曲ではなかったかもしれない。

——“窒息しそうな青へと 挑み続けろ”という表現が好きなんですが、この青は水の青でもあるのかな? と。

YORKE.:俺自身がイメージしていたのはメンタル的な青さ。水が青いっていう感覚はなかった。だって実際は透明じゃない? 

——確かにそうですよね。

YORKE.:でも、人は水を“青い”って表現するよね。海の青も空や太陽の光の反射でそう見えているだけなんだけど、僕も海を描く時は青を使うし、地球の色にしても無修正の写真だと実際はグレーだから。人間の目ってきれいに見えるようにできてるんだなって。

——神秘ですよね。

■並走してる感覚。形は違えど同じように走ってるよっていう。(Ta_2)
■H2O(H to O)という発想ありきで付けたタイトル。(YORKE.)

——Ta_2さんは『Free!』に声優として橘真琴役で出演しているわけですが、役柄目線で歌詞を見て重なるなと思うところは?

Ta_2:重なるというか、ちゃんとテーマ曲として登場人物たちの背中を押したかった。それは大人としてじゃなく、俺らにもまだ青い部分があって走り続けているから、並走してる感覚。形は違えど同じように走ってるよっていう。だからこそ、サウンドだけじゃなく歌詞にもいろいろな意味を持たせたかったんだよね。例えばDメロの(Close your eyes)から始まるラップのセクションは水泳のリレーが4人だから4箇所作ったんだけど、OLDCODEXは楽器隊を合わせて5人だから、4人で引き継いでいった後にギターのショーンにバトンを渡すイメージで作っていった。

——こだわりが詰まっていますね。「Heading to Over」は“向かっていく”という意味ですか?

YORKE.:H2O(H to O)。

——ああ〜! そういう意味が隠されているんですね。

YORKE.:H2Oという発想ありきで付けたタイトル。意味としては向かっていくなんだけど、1行目の“眩しい光が厚い雲の向こうへ”っていう歌詞のニュアンスに近いかな。

——なるほど。

——ミュージックビデオを作るに当たってリクエストしたことはありますか?

Ta_2:まず、今回は映像もシンプル設計にしたいから場面がガンガン変わるような映像にはしたくないっていう話をしたかな。俺らのMVの利点はYORKE.が絵を描いている姿、筆を持ったり、ペンキを撒き散らす様がライブ以上に近くで見られることだと思うから、そういうところをフィーチャーしたかった。外で撮影するなら絵が映えるようなカットにしてほしいってオーダーをして。

——ランプを効果的に使ったスタジオのシーンとロケでスピーカーにペイントしていくライブに近いシーンで構成されていますよね。

Ta_2:そう。ロケーション的には2箇所しかない。場所がコロコロ変わると絵が霞むかなと思って。「どういう絵が出来上がるんだろうな」とか、「OLDCODEXってこういうアーティストなんだ」って楽しんでもらえる内容にしたかった。

——映像も含めて直球で爽快なOLDCODEXですかね。

YORKE.:そうかもね。すごくストレートに伝えたかったっていう想いもあるし、リリースも夏だからね。

■結果、全体的に今までより大人っぽいシングルになった(Ta_2)
■表題曲と並走する感じ。ある意味、テーマは一貫しているんじゃないかな。(YORKE.)

——ではカップリング曲についても教えてください。

Ta_2:カップリングに関しては今回、作曲者がわからないスタイルでコンペで決めさせてもらったんだよね。アルバムだとテーマ性が重要になるから、そういう冒険はできないんだけど、自分たちの新しい可能性が見てみたいと思ったのもあって、今回は3曲とも作曲者やアレンジャーに好きに楽しんで作ってほしかった。あとバンドのメンバーにも投げて。

——バンドのメンバーが考えたフレーズも入れていくということですか?

Ta_2:「まずはみんなで考えてほしい。その上で意見を言うから」って自主性を重んじるっていう。結果、曲が並んだ時に全体的に今までより大人っぽいシングルになったなって。今まで以上にシンプルなアレンジになったのも新鮮だったし、だからこそ、ボーカルを重ねても音にかき消されずに映える作りになった。レコーディングも1曲、1曲、カラーとか声色を変えて歌入れしたんだけど、例えば2曲目の「Bang」では平歌にファルセットを重ねていて、音が少ないこともあって、より耳に飛び込んでくると思う。

——「Bang」はファンキーでライブ参加型の踊れるナンバーですね。

Ta_2:「Bang」は俺らと長い付き合いの小山(寿)さんが、こういうダンスロックを1回やってみたいって言ってて面白い楽曲になったなって。

YORKE.:EDMっぽい曲調に日本語を乗せるトライは今まで何度もやってきたから悩むことなく書ききったかなって。

——ただ、この歌詞も“ここからが本当の戦いだろう”とか熱いですよね。

YORKE.:そこは1枚のシングルとしての世界観があるから、「Heading to Over」がないとこういう歌詞にはなってないと思うし、表題曲と並走する感じ。ある意味、テーマは一貫しているんじゃないかな。

——「another point」はオルタナティブなロックという印象でした。

Ta_2:この曲はライブでいうとYORKE.の絵にスポットが当たるセクションのイメージ。俺も楽器隊と一緒に一歩下がるボーカルでありたいと思ったから強い芯のある声じゃなくて母音を消すような抜けた歌い方をしたかった。たゆたうようなメロディを活かしつつ、フックのある部分だけは棘を出すみたいな。意外とデリケートな歌い方が要求される楽曲だった。

——ボーカルに色気がありますものね。

Ta_2:今回のシングルの制作中にクラシックの発声の基礎を教えてもらったので声の響かせ方も若干、変えてるんですよ。コーラスの絡みも面白くて、この曲は楽器みたいな在り方の歌になれたなって。

——歌詞は“表現は依存的な状態だと知る程 未完成で臆病になる”という表現が興味深かったです。

YORKE.:そこの歌詞は表現することの本質だよね。表現すればするほど足りなくてまた表現して、まさに依存状態。俺自身、そういうことを強く感じながら作っているから。受け取る人からしたらピンとこないかもしれないけど、雰囲気をキャッチしてもらえるようなメロディだったからいいんじゃないかなって。鬱々としたけだるい感じの曲で最初から世界観が明確だったので肩に力を入れずにスーッと書けた。

——「another point」は何を意味しているんでしょうか?

YORKE.:絶対に自分が行けない方向というか、求めていても反対側にあるみたいな場所というイメージもあるかな。見えてるけど届かない。見えていても選ばないかもしれないし。

——そしてアニメ盤にのみ収録されている「Clean out」はまさにシンプルなアプローチで旅しているような感覚になれる魅力的な曲だなって。

Ta_2:この曲は岡本武士さんという方と初めて組んで作ったんだけど、ものすごく雰囲気のある曲だったので、聴いた瞬間、アニメ盤に絶対に入れたいなと思ってましたね。今までのOLDCODEXにはなかった面をより出せるようにロングトーンの良さを再確認できるような歌い方にして、細かいところでビブラートを使ったりとか。

YORKE.:聴いた時にまずメロディが最高だなって。スタジオで岡本さんがサウンドディレクションをしている姿を見て「本物だな。才能溢れてるなぁ」って思った。細かいフレーズまで徹底的に設計図があって“こうしたい”っていうヴィジョンを明確に持っていてしびれましたね。「これは絶対、いい曲になるでしょ」って思ってた。

■相棒の“今日この頃”

——カップリングも含めて充実のシングルですね。

Ta_2:そう。さっきも言ったけど、大人なシングルになった。また自分たちの可能性を見つけられたし、順調に年を重ねていってるなって。

——大人という話が出ましたが、最近の相棒の様子はどうですか?(笑)。

Ta_2:最近、YORKE.は眠そう(笑)。

YORKE.:なう、でしょ?(笑)。今、追い込みの時期なので。

——かなり疲れてそうですもんね。

Ta_2:(笑)今日は疲れが出てるよね。

——睡眠2時間なんです、っていうモードですよね。

YORKE.:バレてるね(笑)。ジャケットとか制作途中で手が離れてないものがいっぱいあるんだけど、こういうタイミングで取材がいっぱいあるから、「大変だな」って昨日の夜ぐらいから思ってる(笑)。ジャケットの話をすると今回はピンクをよりクリアに出せるような新しい印刷にチャレンジしようと思っていて、今までよりモニターで見る色に近づけられるんじゃないかなって期待してる。季節的にも軽やかで華やかなものにしたい。

——そこも新たなトライですね。最近のTa_2さんの様子は?

YORKE.:Ta_2は変わらないよね。

Ta_2:(笑)。

YORKE.:ただ、すごく貪欲になってるし、アプローチの仕方をどんどん変えてくるなって。Ta_2は自分のことを不器用だって言ってるけど、俺からしたら、すごく器用。だから、うらやましいし、そういうヤツが隣にいると俺も「新しいことやってみようかな」って思えるし。いろんなところにアンテナ張ってるから。最近、知らないことないよね?

Ta_2:はははは。

YORKE.:レコーディングの時も小山さんにそう言われてたし、気になったらすぐに調べるから。俺は全く違うタイプかも。

Ta_2:気になったものがあると調べて全部手元に揃えて1つ1つ検証していく。で「YORKE.、これ出来ないの?」って。

YORKE.:エンジニアみたいな気質だよね。機材も増えてすごいことになってるし、結果、それが作品にも反映されるから、そういう面では10年前とは別人のようになっているかもしれない。

Ta_2:だから、最近、俺からのオーダーが増えたかもしれない。

YORKE.:そうだね。今回のMVもTa_2が“こういう感じで”って言ってきて、台本見て“俺はこういうことをやるんだなぁ”って(笑)。俺はテーマがあって、その場で考えるのが好きなんですよ。集中力は長く続かないんだけど、一瞬の爆発力は半端ないので、本番で発揮するために日常を過ごしてるみたいな。

Ta_2:俺は逆で発想する立場だから。

YORKE.:オンオフないからね。Ta_2は見てない映画もほとんどないし。

Ta_2:そうだね。スタイリストさんとも意見言いながら打ち合わせしてるし。

YORKE.:俺は最近、気になった映画買ったら、届かないからPC見たらカートに入れっぱなしで注文してなかったよ(笑)。

——最後に8月27日からスタートするライブハウスツアー<OLDCODEX Tour "GROWTH TO BE ONE">についてメッセージをお願いします。

Ta_2:今回はシングルを引っさげてのツアーで、とは言え、配信曲や前作を含めると新曲が7曲あるんですよね。それに加えて「長いこと演ってないね」っていう曲たちにもスポットを当てて、何が出てくるかわからないぐらい楽しいツアーにしたい。自分たちが今持っている武器も形が変わってきたから、どうなるかなって。よりシンプルにしたいし、久しぶりのライブハウスツアーだから、すごく楽しみですね。

YORKE.:前回、前々回のツアーはホールも混ざっていたので、奥行きが深いステージの空間を活かしてセットを作ろうってトライしたり、向き合い方が大変だったんだけど、その経験を踏まえてのライブハウスツアーでは、より凝縮した強いものが出せる気がする。

——ツアータイトルに込めた意味というのは?

YORKE.:「Growth Arrow」、「One Side」、「Heading to Over」のワードを入れて“GROWTH TO BE ONE”にたどり着いた感じ。以前<ONE PLEDGES>というツアータイトルを付けた時の“ONE”は“一人の人間”みたいなニュアンスだったけど、今回の“ONE”はワンツアーっていう。このツアーを通して“ONE”っていう感覚になれればいいなって。「みんなでこの“ONE”を育てようぜ」みたいな意味あいだよ。

取材・文◎山本弘子

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