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Matsuo

【OKMUSIC】20170720

【OLDCODEX】 
積み重ねてきたものが見事に表れたアルバム

制作チームが新たなかたちになり、完成した5thアルバム『they go, Where?』。“未来を見据えて作ることができた”と語る本作は、よりOLDCODEXらしさを増しながら、ライヴでの盛り上がりが想像できる作品に仕上がった。

ただ過去をなぞるだけではなく、 
自分たちをアップデートできた

今回はだいぶ難航したようですが。

Ta_2

このアルバムの制作途中でディレクターがチームから外れることになったので、それは大きかったですね。それまで、ディレクターがやっていた仕事も、俺が直接関わる場面があったり、チームとして、スケジュールや予算管理を再度見直したりなどして。インディーズで初めてのアルバムを作った時に戻ったみたいな感覚でしたね。まぁ、そもそも今作や今後のライヴに対する考え方にずれが生じてきてて、よくある方向性の違いでメンバーが脱退したみたいな、そんな感じですよ。ただそれがディレクターという重要な立場だったので、だいぶ大変だったわけだけど(笑)。

YORKE.

でも、俺らとしてはディレクターがいなくなろうが、どんな状況でも、そこで歯を食いしばって作ったモノ…スタッフや参加ミュージシャンのみんなも。その人たちと共有したモノを“肌で感じてくれ!”と伝えたいです。それで作り切れたことが、俺の中ではすごく大きい。

結果として、さまざまなことがあった中での感情から生まれた曲たちであるという。

Ta_2

そうですね。制作期間中の瞬間的な感情とか、それ以前に積み重ねてきたものが、見事に表れたアルバムになったと思います。そういう意味では、OLDCODEXという箱をひっくり返して、1度中身を広げてみた感じかな。

地力が必要だったということなのでしょうね。しかし、OLDCODEXは順風満帆にはいかないバンドですね。

YORKE.

それだけ人と一緒に作ってるということ。それに、作りたいものに対してわがままなんだろうね。

Ta_2

大変だったけど、決して言い訳はせずに、未来を見据えて作ることができたのは良かったよね。積み上げてきた7〜8年がしっかり背中にあるんだなと思った制作だったし、背中を押してくれるみんなの想いも感じたし。だから、すごくライヴのことを考えながら作りました。“ライヴハウスでこれをやったら”とか、“フェスでこういう曲をやったら”とか。なおかつ、ただ過去をなぞるだけではなく、自分たちをしっかりアップデートすることもできたと思うし。

アルバムタイトルの“they go, Where?”にはどういうイメージが?

YORKE.

ツアーを見越して、“これからどこに行こうか? ツアーでその答えを見つけよう”みたいな感じです。タイトルを付けた時はディレクターがまだいたので、当時と今では“they”の意味が変わってるんだけど、それでも真ん中にいる俺たちふたりは変わっていないというメッセージも感じてほしいです。リード曲の「Where’d They Go?」の曲名もアルバムタイトルに関連付けてるんだけど、“あの頃の俺たちはどこへ行ったの?”みたいな感じかな。

「Where’d They Go?」はすごくシンプルな音数だけど、お客さんと一緒に楽しめるサビがあって。

Ta_2

シンプルというのはその通り。凝ったことはいっぱいやってきたから、より自分たちの良さを伝えるために削ぎ落として、手数を減らしたみたいな。細かいギミックは他の曲でいくらでもやっているし。イントロのシンセ、ギターリフ、ブレイク後の間奏などは、アレンジャーと一緒に“シンプルでカッコ良いフレーズ”を目指して考えました。アレンジャーとしてeba,、小山寿、大村真司という3人がクレジットされているんだけど、3人それぞれの良いところを抽出して、俺がまとめていくみたいなかたちでしたね。

その「Where’d They Go?」は日本語がメインの歌詞で、他に「Julio」や「smiling」とかもそうですけど、曲調も分かりやすいものになっていますね。

Ta_2

確かにそうだね。特にその2曲に関しては、今までのライヴでオーディエンスと一緒に積み上げてきたものが曲になって表れていると思う。そういう意味では、ファンのみんなから引き出してもらった感じです。

「smiling」はストレートな青春パンクで、ここまでファンに寄り添った歌詞は今までなかったですね。

YORKE.

前回のツアーでもさまざまな経験をして、歌詞を書いてて、ライヴの時に目の前にいたファンの顔がパッと浮かんだんだよね。なので、歌詞はライヴのMCで言ってきたようなこと…“ライヴが終わって、帰りに笑っててくれたらいいな”というメッセージをそのまま書いています。

Ta_2

こういうアプローチって意外とやってこなかったと思って。ここ数年はワンマンでライヴを重ねることが増えて、そこにおける気持ちを消化して、曲として結実させたいと思っていたんです。今の自分たちはこういうものを積み重ねてきたんだよと。ライヴを重ねるごとにどんどん新しく上書きされていることも知ってほしいと思ったし。

今までもそういう曲はあったと思いますが。

YORKE.

よりストレートに歌詞を書いた曲も入れたいと思っていた…特に「smiling」は楽曲もストレートだったから、比喩的な表現を使わずに気持ちを素直に歌ったほうがOLDCODEXっぽいだろうと思って。逆に「Julio」は7月に降った雨が乾くという内容で、6月の未練みたいなものを感じさせながら、自分の中の世界観へ真っ直ぐイメージして書いているかな。

ある意味、素直になったというか。今までは重い鎧で固めていたようなところがあったので。

YORKE.

それもスタッフが外れたことが大きいかな。イメージの部分であるとか、統制していた人がいなくなったから。今回はそれを自分たちでやることになって、自由になったところはあったと思います。

「smiling」はファンが聴いたら嬉しいでしょうね。

YORKE.

感じるものはあると思うし、感じてほしいね。ラジオで「Julio」と「smiling」を初オンエアの収録をした時は、すごくエモい気持ちになりましたよ。「Julio」は最後の《There we go》からの畳み掛けが本当に気持ち良くて。ここはアルバムタイトルの“they go, Where?”とも通じている部分だし、一番言いたいメッセージが詰め込まれていますね。“自分の個性を捨てるなよ”みたいな。

正直言って、こういう真っ直ぐにぶつかってくる曲をもっと聴きたかったからすごく嬉しいです。

YORKE.

今回のアー写も象徴的だよね。青空バックに撮られた写真。映ってる俺らもどこか抜けた表情で(笑)。他にカッコ良いシチュエーションとか候補はたくさんあったけど、俺もTa_2もこれがいいってなった。

Ta_2

でも、今までもこういう曲はなかったわけではなくて。「WALK」とか「Landscape」とかはライヴでは必ず盛り上がって、それこそイントロのギターリフ一発で“おお〜!”と歓声が上がってたし。でも、OLDCODEX全体の印象としては、もっとヘヴィでラウドな方向だったと思うんだよね。だから、アルバムで「WALK」に通じるような曲を毎回入れることで、こういう面もあるんだと認識してほしかった。

YORKE.

ライヴで使える武器が増えたって感じかな。

人は最終的には“個”だけど、“alone”と2回歌ってることで、OLDCODEXのふたりを意味してるみたいな。

YORKE.

あぁ…そこまで考えてなかったけど(笑)。

Ta_2

これはYORKE.とユニゾンするような箇所を作りたいと思って。制作中いろんなことがあったけど、振り返りつつ先を見るような曲にしたいと。本当に作ってる時は、悩みとか打ちひしがれたものを払拭したいと思いながらだった。

YORKE.

最後だけど表題曲になってもいいかなって思うくらい強い楽曲です。Ta_2の歌がしっかりあって、《Listen,》という歌詞から俺がまくしたてるようにラップして、《a million from codex》という歌詞でユニゾンする。それでこういうタイトルにしたんです。

あと、「A Black Toy」も曲として面白いですね。EDMだけどヒップホップのテイストもあって。

YORKE.

R&Bも入ってるよね。Ta_2はEDMとか好きだから、それをロックに落とし込んだ感覚だと思うけど。

Ta_2

今挙がったようなジャンルを上手くミックスした曲はあったけど、1曲の中でセパレートして表現した曲がなかったから、それを上手く表現したいと思って。例えば『A Silent, within The Roar』(2014年4月発表の3rdアルバム)の時の「optimistic negative thing」みたいな感じかな。こういう曲はアルバムだからこそできる遊びだと思うし、そういう音で遊ぶ感覚を表現したくて。歌詞の意味とか曲の雰囲気もあるけど、“音にまみれる”みたいな感覚の曲も作りたかったんですよ。

音源はエディット感ばりばりですけど、ライヴは?

YORKE.

バンドで同期とか使ってやるんじゃないかな。歌録りも結構テクニカルにやってたよね? ヴォーカル用の機材を使ったりとか、“こだわりがついにそこまでいったか!”と思ったもん。そもそもマイクへのこだわりがすごくて。ロシアの何とかってやつとか重すぎて、ブースでどんどん下がってきて(笑)。

Ta_2

真空管だからね。

YORKE.

そのマイクが俺の声には合わないけど、Ta_2の声にはばっちりはまってるんだよね。「A Black Toy」はそういうTa_2のこだわりがすごく出てる。

Ta_2

ヴォーカリストだし、自分の声に合った機材を探すのが好きなんです。頭で鳴ってる音とそれを録った時の細かな違い、鳴っててほしい倍音とか、普通の人が聴いても分からないくらいの細かいレベルで俺は聴き取ってるから。そのためにいろんなマイクを試しましたよ。マイクプリだけで4〜5機、マイクも5種類を試して、最終的にロシアのソユーズという会社のマイクを使っています。今回ひとつの到達点が見えたけど、俺の声も年々変わっていくから、その都度声に合わせて最良のものを選んでいきたいと思いますね。

ちなみに、ライヴでYORKE.さんが使ってるのは?

Ta_2

骸骨マイクね。

YORKE.

あれは、もう見た目ですよ(笑)。でも、面白いもので、ずっと使ってるうちに声が馴染んでくる。だから、壊れて新しいのにすると“あれ?”ってなる時があって。筆もそうだけど、道具って使う人の体に合ってくるんだよね。

今回のアルバムは制作過程も含めて振り返っていかがですか?

YORKE.

居酒屋で生グレープフルーツサワーがなかなか出てこなかったみたいな? つまり、Ta_2の曲がなかなか上がってこないっていう(笑)。作詞やデザインは俺がギリギリでもやるから、気の済むまでやってくれよと思ってたけど、まだ~?って催促してもなかなか出てこなくて。

Ta_2

当初あった新曲はディレクターがいなくなったことで宙ぶらりんになったから、改めてアレンジャーと一緒に曲作りをしていったものが多かったんですよ。オーダーはちゃんと通っていたんだけど、そのしわ寄せがYORKE.にいっちゃって、それは申し訳なかったよね。

YORKE.

まぁ、いいんだけどね。例え話として、やっと出てきたグラスに俺自身がグレープフルーツをギュ〜ってスクイーズして飲み干すみたいなスケジュール感でした。だから、“スクイーズ”っていうタイトルでも良かったなって(笑)。

取材:榑林史章

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